複数の猫と暮らす家庭において、食べすぎる猫や他の分を横取りする猫がいると、健康面や関係性に影響が出ることがあり、食事管理が意外と大きな課題になります。本記事では、そんな悩みを解決するために注目されている個体識別機能付き自動給餌器の魅力とおすすめモデルを紹介します。
Contents
多頭飼いの食事問題を解決する個体識別給餌器の魅力
多頭飼いの家庭では、猫たちの食事管理に関してさまざまな悩みがつきものです。特定の猫がフードを独占して食べ過ぎてしまったり、他の猫の分まで横取りしてしまったりする問題は、肥満や栄養不足といった健康上の課題だけでなく、猫同士のストレスや喧嘩に繋がることも少なくありません。また、ダイエットが必要な猫や、アレルギー、特定の疾患で療法食を食べている猫がいる場合、それぞれの食事を厳密に個別管理することは難しく、手動での個別給餌は飼い主にとって大きな負担となります。さらに、飼い主が不在の際に、決まった時間に適切な量を自動で与えたいというニーズも高まっています。
このような多頭飼いの食事に関する課題を解決するために注目されているのが、個体識別機能付きの自動給餌器です。これらの給餌器は、猫を個別に識別し、特定の猫だけがフードにアクセスできるようにすることで、食べ過ぎや横取りを効果的に防止できます。
本記事では、シンプルな機能で実績のある「シュアーフィーダーマイクロチップ」、専用RFIDタグによる識別とフードの鮮度維持に強みを持つ「One RFIDスマート給餌器」、そして最先端の顔認証技術と豊富なスマート機能を搭載した「FACELINK FEEDER」の3つの製品をピックアップし、それぞれの特徴を比較します。
製品概要
シュアーフィーダーマイクロチップ

商品名 | シュアーフィーダーマイクロチップ |
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メーカー | Sure Petcare |
容量 | 200ml |
サイズ | 310×230×215mm |
参考価格 | ¥39,800 |
シュアーフィーダーマイクロチップは、シンプルながらも信頼性の高い個体識別機能に特化した自動給餌器です。この製品の最大の特徴は、猫の体内に埋め込まれたマイクロチップ、または付属のRFIDタグを利用してフタの開閉を制御できる点にあります。これにより、特定の猫だけがフードにアクセスできるようになり、多頭飼いにおけるフードの横取りや食べ過ぎを防ぐことができます。最大32匹までのタグを登録できるため、多くの猫を飼育している家庭でも安心して利用できます。
機能面では、アプリ連携や詳細な給餌量設定機能は提供されていません。その代わりに、手動でのフタ開閉機能や、猫が給餌器に慣れるための4段階のトレーニングモードが搭載されています。これは、テクノロジーに不慣れな飼い主や、複雑な設定を避けたいと考えるユーザーにとって大きな利点となります。Wi-Fi環境に依存しないため、設置場所の自由度が高いのも特徴です。電源は単2型アルカリ乾電池4本で動作し、電池を入れるとすぐに起動します。電池残量が少なくなると赤ランプで通知されるため、交換時期を把握しやすい設計です。
お手入れに関しては、ボウル、マット、フタは水洗い可能で、衛生的に保ちやすい点が評価できます。対応フードはドライフードとウェットフードの両方で、猫の好みに合わせて選べます。
デメリットとして、体内のマイクロチップの場合、給餌器の認識が遅れたり、反応距離が付属タグよりも短くなる場合がある点が挙げられます。猫がすぐにフードにアクセスできないとストレスを感じる可能性があるため、確実な動作を求める場合は付属のRFIDタグを使用することも検討すると良いでしょう。この製品は、食事の「横取り防止」という基本的な目的に特化し、シンプルさと堅実な動作を重視する飼い主に向いています。
One RFIDスマート給餌器

商品名 | One RFIDスマート給餌器 |
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メーカー | PETLIBRO |
容量 | 1500ml |
サイズ | 196×320×412mm |
参考価格 | ¥19,999 |
One RFIDスマート給餌器(One RFID Smart Feeder)は、専用のRFID首輪タグによる個体識別と、フードの鮮度維持に特に力を入れた自動給餌器です。この製品は、給餌器のRFIDリーダーが猫の首輪タグを認識することでフタが開き、フードが提供される仕組みです。
専用のPETLIBROアプリ(アプリ名:パウセンス)を通じて、給餌スケジュールを自由に作成・変更でき、最大1日10回の食事を設定できます。アプリでは猫の食事時間や頻度を監視してデータレポートを生成できるため、食べ過ぎを防止し、猫の食習慣を理解するのに役立ちます。
もう一つの大きな強みは、フードの鮮度維持への強いこだわりです。密閉された蓋にはシリコンストリップが備えられており、空気の侵入を防ぎます。付属の乾燥剤を使用することで、フードタンク内のドライフードをしっかり保護し、シールドローターは餌が分配されていないときはしっかりと閉じたままで、猫が常に新鮮な餌を楽しめるように設計されています。この「5層の鮮度維持」機能は、特にドライフードの酸化や湿気から守る上で非常に効果的です。
猫が新しい給餌器に慣れるための工夫も凝らされており、蓋の開閉速度を3つのモードで調整できるほか、蓋が閉じるまでの時間を1〜10秒の範囲でカスタマイズできるため、警戒心の強い猫や食いしん坊の猫にも適応しやすい設計です。対応フードは直径2〜15mmのドライフードのみで、ウェットフードには対応していません。容量は3Lで、猫1匹あたり約2週間分のフードを保存できます。
FACELINK FEEDER

商品名 | FACELINK FEEDER |
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メーカー | Shanghai catlink intelligence |
容量 | 1750ml |
サイズ | 225×390×400mm |
参考価格 | ¥35,200 |
FACELINK FEEDERは、最先端のAI顔認証技術を搭載した高機能な自動給餌器で、猫の顔を個別に識別し、それぞれの食生活を管理できます。顔が似ている兄弟猫でも、AI学習に時間をかけることでしっかりと識別し、個別にデータを記録することが可能とされています。猫に首輪タグを装着させる必要がないため、猫にとって最もストレスの少ない識別方法と言えるでしょう。
給餌モードも非常に多様で、顔認証と連携して各猫の最大摂取量を自動で制御する「ダイエットモード」のほか、決まった時間に設定した量が給餌される「タイマーモード」、ごはんが残り10g以下になると自動で継ぎ足される「オートモード」、アプリ操作ですぐに給餌する「ワンボタンモード」などが用意されています。最大で1日20食、1食あたり20ポーションまで設定できるため、非常にきめ細やかな給餌計画を立てることができます。
CATLINKアプリとの連携により、給餌器を遠隔操作できるだけでなく、161.6°広角2MPカメラで食事中の猫の様子をリアルタイムで見守ったり、双方向音声通話で猫に話しかけたりすることも可能です。毎日の食事の量や時間はグラフ化され、健康レポートとして提供されるため、猫の小さな変化に気づきやすくなり、病気の早期発見に繋がる可能性も高まります。
フードの鮮度保持にも配慮されており、3.5Lの大容量フードタンクは食品基準の強力な密閉性を実現。乾燥剤をセットするスペースや、猫のいたずら防止ロック機能も搭載されています。フードボウルは耐久性と衛生性に優れたセラミック製で、猫が食べやすいように10度の傾斜が設けられている点も、猫への配慮が感じられます。電源はAC電源に加え、単3形乾電池4本によるバックアップ電源に対応しており、停電時にも約14日間動作するため、万が一の際も安心です。
FACELINK FEEDERは、単なる給餌器にとどまらず、猫の健康状態を包括的にモニタリングし、管理するためのプラットフォームとしての役割を果たすと言えます。同シリーズの自動猫トイレ「CATLINK SCOOPER」と連携すれば、食事と排泄の両面から愛猫の健康データを一元管理できるため、飼い主の安心感を一層高めるでしょう。
一方で、発売から間もない製品であるため、ユーザーレビューが少なく、実際の識別精度については不透明な部分があります。また、複数の猫を識別できる仕組みを備えているものの、猫が食べ残したフードは他の猫が口にできてしまうため、完全な個別管理には工夫が必要です。
各機能の比較
1. 個体識別機能の精度
自動給餌器を選ぶ上で最も重要な要素の一つが、猫をどのように識別するか、そしてその精度と利便性です。
シュアーフィーダーマイクロチップは、猫の体内に埋め込まれたマイクロチップ、または付属のRFIDタグを使用して猫を識別します。既にマイクロチップを装着している猫にとっては、追加で首輪タグを付ける必要がないという手軽さがあります。一台で最大32匹までのタグを登録できるため、多頭飼いでも一台の給餌器で複数の猫を識別し、フードへのアクセスを制御できます。ただし、体内のマイクロチップの場合、給餌器の認識が遅れたり、反応距離が付属タグよりも短くなる場合があることが指摘されています。これは、猫がすぐに食べたいときにストレスを感じる可能性があり、確実な動作を求める場合は付属タグの利用も検討すると良いでしょう。
One RFIDスマート給餌器は、専用のRFID首輪タグを使用し、給餌器がタグを認識することでフタが開く仕組みです。他のマイクロチップやRFIDタグとは互換性がないため、必ず付属タグの装着が必要です。この給餌器は「1匹専用」として設計されているため、多頭飼いの場合は猫の数だけ給餌器を設置する必要があります。個別の食事管理は可能ですが、給餌器の台数が増えることによる初期費用、設置スペース、管理の手間が増える点が最大の注意点です。特に狭いスペースでの多頭飼いには不向きな可能性があります。干渉防止のため、複数台設置する場合は25cm以上の間隔が必要とされています。
FACELINK FEEDERは、最先端のAI顔認証技術を採用しています。この方法は、猫に何も装着させる必要がないため、猫への負担が最も少ない識別方法と言えます。一台で複数の猫を顔認証で識別し、個別の給餌管理が可能です。顔が似ているきょうだい猫でも、AIが学習することでしっかりと識別し、個別にデータを記録するとされています。最先端技術による利便性は非常に高い反面、導入初期のAI学習期間や、非常に似た顔の猫の場合に誤識別が発生する可能性は考慮すべき点です。
2. 給餌管理とアプリ連携
給餌管理の柔軟性とアプリ連携の有無は、飼い主の利便性と猫の健康管理の質に直結します。
シュアーフィーダーマイクロチップは、アプリ連携機能を持たず、給餌量設定機能もありません。単純にフタ開閉だけ特化しており、食事の「横取り防止」に主眼を置く製品です。詳細な食事量管理を求めるユーザーには不向きですが、シンプルさを求めるユーザーには十分な機能と言えるでしょう。
One RFIDスマート給餌器は、アプリで給餌スケジュールを自由に設定でき、最大1日10回の給餌が可能です。食事時間や頻度の監視、データレポート生成により、食べ過ぎ防止や食習慣の理解を促進します。アプリ連携による食事管理は可能ですが、FACELINKのようなカメラや音声機能はないため、見守りよりもデータに基づいた健康管理に重点を置くユーザー向けです。
FACELINK FEEDERは、CATLINKアプリを通じて給餌器を遠隔操作し、各猫の最大摂取量や給餌スケジュールを細かく設定・管理できます。また、食事データレポートや健康状態のモニタリング機能が充実しており、広角カメラと双方向音声通話機能も備えているため、食事管理と健康モニタリング、遠隔での見守り、コミュニケーションまで幅広くカバーできます。
3. 多頭飼い家庭における使いやすさ
多頭飼い家庭における食事の公平性と健康管理は、個体識別給餌器の導入を検討する上で非常に重要な要素です。
シュアーフィーダーマイクロチップは、最大32匹まで登録可能で、各猫が自分のフードにアクセスできるため、食べ物の横取り防止に有効です。しかし、個別の食事量設定機能がないため、特定の猫に「少なめに」与えたい場合や、療法食を厳密に管理したい場合には不向きです。あくまで「アクセス制限」が主目的となります。
One RFIDスマート給餌器は「1匹専用」設計のため、多頭飼いには猫の数だけ給餌器が必要となりますが、各給餌器がそれぞれのタグを識別し、個別の食事管理が可能です。個別給餌は実現できるものの、給餌器の台数が増えることによるコスト、設置スペース、管理の手間が増えます。
FACELINK FEEDERは、顔認証で各猫を識別し、個別の給餌量設定が可能で、各猫の食事習慣を個別にモニタリングし、健康レポートを提供します。ただ、先に述べた通り、特定の猫が食べ残したフードは他の猫が口にできてしまうため、厳密な個体別の食事量管理ができるわけではないようです。
4. 対応フードと鮮度維持
猫の健康にとって、提供されるフードの鮮度は非常に重要です。
シュアーフィーダーマイクロチップは、ドライ・ウェットフード両方に対応しています。しかし、フタが付いているものの密閉された保存容器ではないため、長期間の鮮度維持には不向きで、フードは毎日交換する必要があります。
One RFIDスマート給餌器は、直径2〜15mmのドライフードのみに対応しており、ウェットフードには対応していません。しかし、「5層の鮮度維持」を謳い、密閉蓋、シリコンストリップ、付属の乾燥剤、シールドローターで空気の侵入を防ぎ、フードを強力に保護します。ドライフードに特化し、その鮮度維持には非常に力を入れている点が特徴で、湿気や酸化からフードを守ることに重点を置く飼い主には魅力的な選択肢となるでしょう。容量は3Lです。
FACELINK FEEDERは、ドライフードのみに対応しており、ウェットフードには対応していません。3.5Lの大容量フードタンクは食品基準の強力な密閉性を実現しており、乾燥剤スペースやいたずら防止ロックも完備しています。ボウルからフードがなくなるとこまめに補充されるため、常に新鮮な食事を提供できます。
5. メンテナンスや手入れのしやすさ
自動給餌器は日常的に使用するものなので、使いやすさやメンテナンスのしやすさも重要な選定基準です。
シュアーフィーダーマイクロチップは、ボウル、マット、フタは水洗い可能で、お手入れは比較的容易です。本体は機械部品が含まれるため水洗いできず、固く絞った布巾で拭く必要があります。電池駆動のため、設置場所の自由度は高いですが、定期的な電池交換の手間とコストは発生します。
One RFIDスマート給餌器は、ボウルを取り外して水洗いできます。Wi-Fi機能はAC電源接続時のみ有効なため、アプリの全機能を活用するには電源確保が必要となる点に留意しましょう。
FACELINK FEEDERのフードボウルは耐久性・衛生性に優れたセラミック製で、傷がつきにくく菌が繁殖しにくいという利点があります。各パーツは簡単に分解・洗浄が可能で、常に清潔に使用できます。2way給電(AC電源と乾電池)に対応しており、停電時も約14日間動作するため、災害時やコードを噛む癖がある猫にも安心して利用できます。設置場所は電源確保を考慮する必要があります。
機能比較表
個体識別機能付き自動給餌器の選択は、猫の個性や数、どのようなシーンで利用するか、そして何を最も重視するかによって大きく変わります。各給餌器の主要機能を一覧で比較することで、それぞれの製品の強みと弱み、そしてご自身のニーズに合った機能の有無を把握できます。
機能項目 | シュアーフィーダーマイクロチップ | One RFIDスマート給餌器 | FACELINK FEEDER |
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個体識別方法 | ◯ 首輪タグ・マイクロチップ | ◯ 首輪タグ | ◎ AI顔認証(タグ不要) |
多頭飼い対応 | 1台で複数識別可能(最大32匹) | 1匹専用(猫の数だけ必要) | 1台で複数識別可能 |
フード容量 | 400mL(ボウル容量) | 3L(タンク容量) | 3.5L(タンク容量) |
対応フード | ドライ・ウェット両方 | ドライフードのみ | ドライフードのみ |
個別の給餌量設定 | なし | あり(アプリでスケジュール) | あり(ダイエットモード) |
給餌モード | なし(アクセス制御のみ) | アプリでスケジュール設定可(最大10回/日) | 4種(ダイエット、タイマー、オート、ワンボタン) |
アプリ連携 | なし | あり | あり |
カメラ/音声機能 | なし | なし | あり(カメラ、双方向音声) |
フード鮮度維持 | △ 蓋のみ(密閉ではない) | ◎ 5層密閉、シリコン、乾燥剤、シールドローター | ◯ 強力密閉、乾燥剤スペース、自動補充 |
電源方式 | 単2電池 | AC、単1電池(電池動作時はWi-Fi機能無効) | AC、単3電池(バックアップ14日間) |
お手入れのしやすさ | ボウル取り外し・水洗い可 | 各パーツ分解・洗浄可 | 各パーツ分解・洗浄可 |
主なメリット | シンプル、既存マイクロチップ利用可、堅実な横取り防止 | 強力な鮮度維持、猫の適応サポート、データ管理 | 最先端顔認証、詳細な健康管理、見守り機能、多様な給餌モード |
主な注意点 | 個別量設定不可、マイクロチップ認識遅延の可能性 | 1匹専用(複数台必要)、ウェットフード不可、設置スペース要 | 初期AI学習期間、似た顔の誤識別の可能性 |
メーカー | Sure Petcare(イギリス) | PETLIBRO(中国) | CATLINK(中国) |
販売サイト |
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